Cluster A騒動によせて

なににも影響を受けずになにかを作ることはできません。
私には嗜好のみが人となりを語りうるという信念があります。
そして私自身、 in the blue shirtという名義で、参照、引用の手法を盛んに用いた制作を続けてきました。

私の音楽活動は、そっくりそのまま、"参照、引用という行為に向き合うことである"といっても良いかもしれません。

Neru氏、寺田てら氏にお伺いをしたのは
・リファレンスとして私の作品を用いた事実はあるか
・その回答を公表することは可能か
という二点です。

これに関して、
・私の作品を見たことがない
・それを公表することはしない(する必要がない)
という返事をいただきました。
本件の結論は、「こちらの勘違い、言いがかりであった」ということになります。

「cluster A」という作品は、ディックブルーナをはじめとする、好きな作品たちを明確にリファレンスとして設定し、それを踏まえ、自分たちはなにができるか?を考えて制作したものです。「巨人の肩の上」と言われるように、われわれは先人たちの築いた手法の元、どんな景色が見えるかを知りたいのです。われわれは未熟です。それでも「自分の表現」をしたいと願ってやみません。

「そんならおまえらもミッフィーのパクリやん」
「これがパクリならなにも作れない」
という意見もかなりありました。各人の意見は自由で尊重されるべきものです。

私は”リファレンスにいかに自覚的になれるか”をかなり意識して制作に向き合っています。”パクりの是非”はそもそも問題ではありません。

今回の件は、めいめいの志向の違いであるともいえます。オリジネーターであることの主張がしたいわけではないのです。

メールでNeru氏、寺田てら氏から作品の意図をお聞かせいただきました。彼らの作品自体は尊重されるべきものです。一方で作品への感想を述べるのも自由です。私は彼らの「い〜やい〜やい〜や」のミュージックビデオ、その制作への姿勢ははっきりと"ダサい"と感じています。それは彼らを否定するものではなく、作品に対しての私個人の意見です。

模倣の事実がないのにパクリと断定され彼らが憤ることはもっともです。しかしながらニコニコ動画への「cluster Aに似ている」といった作品への感想は、類似の作品や、参照点の大海へ向かう起点になり得ます。彼らが誹謗中傷ではないそれらのコメントを削除するようなことがあるならば、私はまたはっきりと、その姿勢に対してダサいと言わざるを得ません。

こちらの活動規模は向こうのファンベースの規模からすると、吹けば飛ぶようなものです。それでも、彼らの正義と私の正義は対等で、それに基づいて発言することは間違っていないと考えています。

今回の件で、自分が想像以上に感情的になったことは反省しています。何かに強く憤ることが普段ほぼないため、自分の気持ちにうまく折り合いをつけることができませんでした。不快に感じた方もいるかと思います。申し訳ありませんでした。

先人の肩の上に立ち、遠くの景色を望まんとし、作品を作る権利は誰にでもあります。そのような信念で、私は今後も制作に励む所存です。

in the blue shirt 有村